株式会社MIYACO 中馬 一登 社長

2021年2月1日#不動産,#小売,#教育

中馬社長、本日は宜しくお願いします。早速ですが、MIYACOさんは何をされている会社ですか?

一言で表すなら、社会をより良くするために「希望を作る会社」です。その為に今は、人・組織に関わる事業をメインに、色々な事業を20ほど展開しています。

20事業ほどですか。凄いですね!何から始めたのですか?

調味料のソースを販売する食品事業から始めました。

どうしてですか?

私が小学生の時から好きで買い続けていたソースがありました。そのソースは知る人ぞ知るソースで、地元の小さなスーパーでしか売っていませんでした。ですが、その販売店が潰れてしまって買えなくなったんです。その時ちょうど大学を卒業して何か事業を始めようとしていた時だったので、「大好きなソースをこの世から無くしたくない」という想いと重なり、食品事業から始めることにしました。製造工場に私の想いを伝えて、ソースをトータルプロデュースさせて頂くことになりました。それまでは1.8Lの一升瓶でしか販売されていなかったソースを、誰もが買いやすくなるような小瓶にし、ラベルなども総合的に見直していきました。

(写真:「美京都ソース」/HPより抜粋)

“好き”から始まったソース事業だったんですね。ところで、インバウンド事業もなさっていますよね。

はい。京都は観光都市なのでゲストハウス運営や独自のエンターテインメント事業などもしています。しかし、今はコロナの影響でほとんど活動していません。

それは大変なことですよね?

そんなことはありません。これからどんどん縮小させていきたいと思っていたので、コロナの時期に事業展開の見直しがしっかりできたことは結果的に良かったと思っています

そうなんですね。では、今はどんな事業に力を入れているのですか?

教育事業です。

教育事業は例えば、どんなことをなさっているのですか?

GTP(Global Teacher Program)という、教員になりたい学生さんや現教員の方々をフィンランドやフィリピン、ハワイに連れて行き、現地の学校で教育実習を行うプログラムを企画しています。とても人気の研修プログラムで、コロナが落ち着いたら大学の単位認定プログラムに認定される予定です。他には、小学六年生から大学一年生の10代に対して、「我がままになれる塾」というコンセプトをもとに「ワンゼロFC KYOTO」という教育プラットフォームも展開しています。そして私ごとになるんですが、「U35-KYOTO」という京都市が主催する、「若者でこれからの京都を描く」をコンセプトにしたコミュニティの運営も務めています。そういった出会いから新たな事業が生まれるので、MIYACOでは色々なことに挑戦しています。

そうなんですね。ところで失礼ですが、中馬社長はおいくつですか?

33歳です。

お若いですね!

若いんですかね(笑)。10代と一緒にいることが多いので、歳を感じることが多いです(笑)。

いつMIYACOを創業されたのですか?

2014年、私が26歳の時です。私が大学を卒業したのが東日本大震災の時(2011年)で、宮城県に所縁があったので恩返しをしに行きました。ですが、現地の人を助けるボランティア団体の資金繰りが厳しく、「東京で資金を調達するチーム」と「現地でボランティアするチーム」に分かれることになりました。私が起業したいことを周りに知られていたので、私は東京に行って資金調達のために働くことになりました。

その後、どうして京都で起業しようと思ったのですか?

まず、京都は自分が育った思い入れのある地だからです。そして、京都は東京と並ぶくらいに、世界的に見ても有名で知名度のある、ポテンシャルの高い土地なので、京都で一番になれれば世界でも通用するレベルに近づくのではないか、と感じたからです。

なるほど。京都で育ったんですね。MIYACOさんは中馬社長が創業し、次男さんと三男さんが管理・新規事業開発を手がける、三兄弟の会社なんですよね?兄弟喧嘩とかは無いですか?

無いですね。子どもの頃は毎日のように喧嘩していました。でも、今は三兄弟で経営するほど仲が良いです。

(写真:株式会社MIYACOロゴマーク/HPより抜粋)

三兄弟の会社経営は珍しいですね。では、そんなMIYACOさんの強みを教えてください。

まず、社員みんなが「ええ奴」であることが強みです。

みんな「ええ奴」なんですか(笑)?

そうですね(笑)。みんな周りの人から好かれます。そして、私たちはとても仲が良いです。みんなが同じ志を持っているので、楽しく仕事をすることが出来ています。あとは、他人を巻き込む力があるのも私たちの強みです。

どういうことですか?

みんなをワクワクさせる構想力があるので、色々な人を巻き込むことができます。それは僕の強みであり、会社の強みです。仲間がサポートし合いワクワクすることを実現する、私たちはこうして成り立っています。今では、100人を超えるイベントを任されるほど、私たちのその強みが評価されていると感じています。

(写真:取材風景)

中馬社長の他人を巻き込む力がそのまま会社の強みになっているということですね。では、そんなMIYACOさんの「求める人物像」を教えてください。

「我がまま」な人が欲しいです。

「我がまま」とはどういうことですか?

我がままに自分らしく生きる、ということです。「我がまま」に生きる人は自分の“強み”と“弱み”を活かしながら幸せに生きることができます。しかし、「我がまま」に生きることは簡単なことではありません。

どうして簡単なことではないのですか?

「我がまま」に生きるには自分の“弱み”を受け入れながらも、それをカバーする“何か”を持つ必要があるからです。その“何か”は圧倒的な人間力や知名度、スキル、経験、知恵、人との繋がりであったり……、人によって様々です。やりたくないことをやらないために、その“何か”を見つけ、伸ばしていくことはとても難しいです。

「我がまま」な人はとても優秀な人ですね。単なる自分勝手ではなく、自分の強みを活かしながらやりたいことを極める努力が必要なんですね。

はい。かつ、他人の幸せも求めることができる人が欲しいです。

中馬社長自身はどのように「我がまま」を追求されたのですか?

実は私、メールなどの細かい作業がとても苦手なんです。だから、普通に就職するのは向いていないと思い、起業の道を選択しました。メールは今も苦手ですが、ビジネスにおいてメールは欠かせないし怠ると信用を無くしてしまいます。なので、メールをしなくても許されるぐらいに、ワクワクさせるアイデアを構想する力や他人を巻き込む力といった、自分の強み最大限に活かしてお客様や仲間の期待を常に上回る仕事ができるよう心掛けています。

「我がまま」を追求することで何が一番苦労しましたか?

採用が一番苦労しました。私たちが求める「我がまま」な人は、その人の持つ“弱み”が許容されるぐらいの強い“何か”を持っている人か、人一倍の努力でその“何か”を見つけ、伸ばそうとする人です。新卒でそこまでのレベルを求めるのはなかなか厳しかったですね。それでも、今の若い人たちにはできるだけ「我がまま」を追求して欲しいと思っています。

どうしてそんなに若い人たちにも「我がまま」になって欲しいと思うのですか?

「我がまま」に生きることができれば、幸せな人生を送れると思うからです。そんな、自分らしく幸せに生きる若者がほとんど居ないように感じています。そして、「我がまま」を追求すれば、自分が得意とする分野でリーダーになれます。なので、若者には「我がまま」に生きることを考えて、良いリーダーになって欲しいのです。

どうして中馬社長は良いリーダーを育てたいのですか?

世の中をもっと良くしたいんです。災害やコロナのような疫病で大変な時も、良いリーダーが集まって力を合わせれば困難を乗り越えることができます。私はそんな人がヒーローのようでとてもかっこいいと思いますし、社会に必要な人材だと思います。

(写真:「This is me/我がままであれ」/HPから抜粋)

なるほど。「我がまま」という新しい価値観が知れて良かったです。他に何か大学生にアドバイスはありますか?

まず、多くの人に会うべきです。

具体的に教えてください。

私もそうでしたが、若者は出会う大人の数が圧倒的に少ないように感じます。親や学校の先生・先輩のような同じコミュニティではなく、自分とは掛け離れた大人と出会うべきです。そうすることで自分のロールモデルが豊富になり、より良い大人へと成長することができます。大学生の時、私は多くの経営者さんに会いに行き、話を聞いていました。たくさんの大人に出会おうと行動すれば、出会うことができる世の中です。実際、私たちもその出会いを支援するイベントを開催しています。あと、大学生はその豊富な時間で旅をすると良いです。

旅ですか?

国内・海外、色々な場所に行くことで新しい価値観に出会うことができます。決められた“正解”がない時代に、多種多様な価値観を持っていることはとても重要です。私は大学生の時に、バックパックで色々な場所に行き、様々なカルチャーショックを受けて多様な価値観を知ることができました。あとは、大学生のうちにアルバイト以外でお金を稼ぐことも大切です。

どうしてですか?

自分で事業を始め、お金を稼ぐ経験をすることで、物事を時給で換算しない考え方を身に付けることができるからです。私はその考え方が備わった人を脱時給人間と呼んでいます。大学生は「脱時給人間」になることを目指すべきです。私たちのインターシップでは給料は自分自身で決めてもらいます。働いた時間ではなく、働いてどんな価値を生み出したかで給料を決めて欲しいからです。

脱時給人間、とても良い言葉です。それでは最後に、中馬社長は多くの若者に会ってきたと思いますが、中馬社長が見てきた若者の中で、優秀だと思った人には何か共通点はありましたか?

みんな素直で、すぐに行動できる人でした。そんな人は信用できて、私もその子にどんどん仕事を頼みたくなります。そして、そういう人は期待値を超えてきます。私たちはそのことを「期待値101%」と呼んでいます。自分のキャパシティーに合った仕事をちゃんと設定して、さらに100%を超えてきます。

なるほど。とても良い話が聞けました。中馬社長、本日はありがとうございました!

本日は取材にご協力頂き、有難うございました。