株式会社ビットグルーヴ 村田 幸史 社長

2021年1月29日#ゲーム,#IT

村田社長、本日はよろしくお願いします。早速ですが、村田社長の会社は何をされている会社ですか?

ビットグルーヴは主にゲームソフトを開発している会社です。近年はスマートフォン向けのゲームソフトを開発しています。その他には、低年齢層向けの教育・学習ソフト制作もお手伝いしています。

スマートフォン向けのゲームソフトの前はどんな種類のゲームソフトを開発されていたのですか?

昔はゲームセンターにあるようなアーケードゲームや家庭用ゲーム、パソコン、色々な種類のゲームソフトを開発していました。

ビットグルーヴさんが作った作品をいくつか紹介してください!

2011年にお手伝いした「太鼓の達人プラス」や2017年にリリースした「キングダム ハーツ ユニオン クロス」などがあります。最近の教育・学習ソフトで言えば、「ポピっこアプリ」というデジタル教材があります。

「キングダム ハーツ ユニオン クロス」はディズニーのキャラクターが出てくるゲームで有名ですよね! そういったゲームアプリや教育・学習ソフトはどういった流れで開発していくのですか?

依頼元からの企画内容やビジュアルの要望をベースに仕組みやデザインを設計していきます。依頼元と一緒に明確な形を模索しながら作るので、完成までにだいたい半年から1年半と、長い期間がかかります。

ちなみに、教育・学習ソフトの中でも低年齢層向けだからこそ気を付けていることはありますか?

まだ文字が読めるかどうかわからない年齢のお子さんに向けたソフトなので、直感的な反応を大切にしています。例えば、アニメのようなビジュアルエフェクトだったり、楽しげな音がなるような反応だったり……。

なるほど。HPで拝見しましたが、ビットグルーヴさんは作曲やアレンジや効果音も制作されるんですよね?

最近は大々的に活動はしていませんが、僕自身がサウンド制作が好きなので、今も頼まれたら作ります(笑)。

村田社長は音楽が好きなんですか?

音楽は好きです。大学時代はバンドに明け暮れていました。そのせいで大学は途中で辞めることになりましたが、その時は音楽で飯を食っていこうと思うぐらい音楽が好きでした。

音楽好きの村田社長がどうして今、ソフトウェア開発会社の経営者をなさっているのですか?

大学を中退してからは楽器屋でアルバイトしながら、バンド活動を続けていました。しかしそれが行き詰ってしまい、現実的に将来を考えて、自分が持っている音楽の知識や経験をなんとか活かせる仕事を探すことにしました。そして、見つけたのがゲームの音楽関係に携われる仕事でした。元々ものを作るのは好きだったので、楽しく続けることができました。自分の好きなことを極めたいタイプなので、その性格上いつのまにか経営者になっていました。

村田社長自身の“好き”が仕事になっているんですね!凄いです。ところで、ビットグルーヴさんはIT企業という業種に属されると思いますが、全員がプログラミングできるのですか?

職種は主に4つあります。まず、ゲームの企画を考えるゲームプランナー。それから、プログラマー、グラフィックデザイナー、わずかながらサウンドクリエイターがいます。全員がプログラマーではないんですよ。

そうなんですね。職種に限らず大切にしていることはありますか?

自社ブランドではなく、クライアントさんの依頼を受けて作るので、「丁寧に作る」ということは大切にしています。プログラムは端末や機器の中で動きますが、雑な作業はいわゆる“バグ”を生みます。“バグ”が出ないためにも常に丁寧な作業を心がけています。

“バグ”は一番がっかりしますよね。では、ビットグルーヴさんの強みを教えてください。

高い技術を提供できることが私たちの強みです。

どうしてそれが実現できているのですか?

それはおそらくスタッフに恵まれているからですね。私を含め、ファミコン時代から日本のゲーム産業を支えてきたベテランスタッフのノウハウが、私たちの貴重な財産なんです。それから、社内のコミュニケーションも、高い技術を提供することができる理由のひとつです。建設的な考えを持つ社員が多いので、とても平和な会話で仕事を進めることができています。そして、その良い雰囲気が会社に浸透しているので、新卒の方が入社してもすぐ馴染め、良い風土を保つことができています。

今の時代に活かすことのできるベテランスタッフのみなさんのノウハウは、例えばどんなものがありますか?

今の時代は昔と比べて何百倍と、格段にメモリー量は増えましたが、それでもすぐにメモリー量が足りなくなるという状況が起きています。ファミコン時代の少ないメモリー量の有効な使い方が、現代でも活きています。他にも、人間がゲームに対して喜ぶポイントはファミコン時代から大きくは変わっていないので、そのノウハウも役に立ちます。

(写真:取材風景)

なるほど。では、村田社長の「求める人物」を教えてください。

人間が好きな人が良いです。

どういうことですか?

他人のアドバイスや考えを受け入れられない人は成長が難しいです。私の経験上、近くに良い友やライバル、師がいるときに成長することができると感じているので、そういった人間関係を築ける人が欲しいです。人の好き嫌いが激しかったり、不信感を抱きがちな人はそういった人間関係を築き難いからです

成長に重きを置いているのですね。

そうですね。そして、健康で楽しく仕事ができる人が良いです。

健康第一ですね。楽しく仕事ができる人はどうして良いのですか?

先ほども言ったように、長い期間をかけてひとつの作品を仕上げるので、楽しくないと続きません。制作段階でなかなか解決できない、しぶといバグも出てきます。そんな苦難に負けないほどの楽しさを開発に見出すことが大切です。

なるほど。他に何かIT企業だからこその「求める人物」はありますか?

ソフトウェアに携わる者としては好奇心や探究心が強い方がより良いです。

それはどうしてですか?

IT業界は特に技術の進歩が早いので、日々進歩する技術に置いていかれないための好奇心や探究心はどうしても必要になります。最近だと5Gの登場で、作れるものの根本の設計が大きく変わったりしています。そういった技術革新が激しい業界ならではの「求める人物」だと思います。

それは本当にIT企業だからこその「求める人物」ですね! ビットグルーヴさんの職種によって「求める人物像」が変わることはないですか?

基本的には同じです。強いていうならば、ゲームプランナーさんはチーム全体をまとめる役割があるので、外交的で、自分の考えを言語化するのが上手な人が好まれます。そして、プログラマーさんは一番基本的なプログラミング言語のC++が扱える方を望んでいます。

どうしてC++は一番基本的なプログラミング言語なのですか?無知ですいません(笑)。

簡単に言うと、C++は汎用性が高く、C++から発展させた言語も多く存在します。ゲームエンジンを使い開発する場合も含めて、最も基本的なプログラミング言語と言えるからです。

深く追求すると専門的な話になってきますね(笑)。では最後に、大学生にアドバイスはありますか?

大学生の間に色々な失敗を経験すると思います。その失敗を素直に受け止めて、「何が悪かったのか」「どこを工夫したら次は同じ失敗をせずに済むのか」などを丁寧に考えるべきです。そうすると、大学生活を価値ある期間にすることができると思います。そうして、失敗からでも良いので、なにかひとつ極められると社会に出て、大きく役に立ちます。

大学生はなにかひとつでも極めた方が良いということですか?

はい。極めた経験がある人は、新しいことに挑戦する時に、今自分はどのレベルに立っていて、どうやって目標にチャレンジするべきか、という道筋が見えると思います。なので、多少何かを犠牲にしても、ひとつのことを極めてください。それから、アルバイトをするにしても、出来れば色々な種類を経験して欲しいですね。

どうしてですか?

多種多様なアルバイトをすることで、社会との接点が数多く生まれるからです。また、社会人になると自分の所属する業界での付き合いが主になるので、色々な社会を見ることができるのは大学生がラストチャンスかもしれません。さらに一つ一つのアルバイトで得るものが絶対あります。私もレストランやゲームセンター、家庭教師などの多くのアルバイトを経験し、その中でも、楽器屋のアルバイトでは、お客さんからの値段交渉や、初心者の方へのアドバイスなど、色んな問題を解決する発想は、そこでの経験で身に付いたのかな、と思っています。

「色々なアルバイトをする方が良い!」という経営者さんのアドバイスは多く頂きます。本当に大切な事なんですね。

そして、学生のうちに、ぜひ恋愛をして欲しいですね。

恋愛ですか!?

子どもから大人になる成長の過程で、本当に相手の立場に立って考えるようになるきっかけは恋愛だと思います。恋をすると初めて「あの人は自分のことをどう思っているのだろうか」と相手の立場で真剣に物事を考え始めますよね。なので、大学生は恋愛を沢山経験してください(笑)。

私も早く恋愛したいです(笑)。村田社長、本日はありがとうございます。