株式会社トーセ 齋藤 茂 会長

#ゲーム,#IT,#コンサル

齋藤会長、本日はよろしくお願いします。早速ですが、トーセさんは何をされている会社ですか?

私たちはゲームソフトやモバイルコンテンツをはじめとするコンテンツの企画提案から開発、運営に至る幅広いサービスを提供する会社です。

主なお客様はゲームメーカーさんだと思いますが、他にどんなジャンルのお客様とお仕事をされているんですか?

ゲームソフト開発以外にも、ビジネス系システム開発、スマートフォンアプリ開発、パチンコ・スロットの液晶表示部分の開発、LINEのスタンプ開発など多岐にわたるジャンルと関わっています。

(写真:(株)トーセロゴマーク/HPから抜粋)

販売会社からの受託によって、コンテンツを作る会社なんですね。どのくらいの数の開発実績をお持ちなんですか?

現在までに開発したエンタテインメント系のタイトル数は約2,300本になります。

すごい数です!

ただ、世間にはあまり知られていません。一部の熱狂的なゲームユーザーから詮索されることはありますが……(笑)。

どうして知られていないんですか?

そのほとんどを公にしていないからです。

なぜ公にしないんですか!?

まず、クライアントとの契約内容に基づいた約束があるからです。そして、公表しないことで、ゲーム業界を陰から支える「縁の下の力持ち」企業に徹底したいと思っています。

どうして、陰から支える「縁の下の力持ち」企業を徹底されるんですか? トーセさんのその実績や技術力をアピールするのも魅力的だと私は思います。

陰から支えることで、お客様に対して、企画提案型の独立系受託開発専門企業として中立のスタンスが貫けるからです。そして、経営がとても安定します。創業から42年間ずっと黒字決算、自己資本比率も約80%以上で、健全な財務体質を維持できています。

なるほど。メーカーさんに対して中立的な立場を貫くための「縁の下の力持ち」経営であり、それが業界随一の実績に繋がっているんですね。社員にとって「縁の下の力持ち」企業で働くことはどのような魅力がありますか?

任天堂さんやバンダイさん、スクウェア・エニックスさんなど、様々なメーカーさんとお仕事ができ、色々な作品に関わることができます。

それはとても魅力的ですね。そもそもどうしてそんなにも開発力があるんですか?

42年間におよぶ、幅広いノウハウや経験の蓄積があるからです。そして、総勢約800人(社内600人+社外200人)によるオールインワン体制でお仕事に向き合うことで、お客様に高い支持を頂いています。

約800人によるオールインワン体制ですか。流石です。ところで、トーセさんはどのようにして始まった会社さんなんですか?

もともと私の親父の会社がパナソニックの下請けの会社で、電子関係の仕事をしていました。そして、私が学生の頃、『インベーダー』などのアーケードゲーム全盛期で、私はアルバイトでテーブル型ゲームの組み立て作業のアルバイトをしていました。大学卒業後、その親父の会社に就職し、私が学生時代から携わっていたアーケードゲーム事業の分社化によって、スタートしたのがトーセです。

アーケードゲームの時代からスタートした会社なんですね。

1979年の創業当時はアーケードゲームを中心に。ファミコン誕生の1983年から、ファミコン用ソフト開発にいち早く着手しました。多い時は「ソフト売り上げベスト10」の半分を私たちの開発したソフトが占めていました。

ゲームの進化とともに、トーセさんも進化されてきたと思います。とくにファミコンで業績が一気に伸びたんですか?

そうですね。そして、そのまま上場しました。

どうして上場しようとお考えになられたんですか?

ずっとお声が掛かっていたので、興味を持ち、セミナーに参加したのがきっかけです。そのセミナーで参加者から質問を目の当たりにして、私たちが上場する責任や妥当性を感じ、1999年に大証二部(大阪証券取引所 市場第二部の略)に上場することになりました。

トーセさんは開発したゲームタイトルを公表していないので、無名の企業が突如姿を現したような感覚ですね(笑)。

シンデレラのような登場で、7営業日ストップ高し、大証記録を作りました。大証がない今、その記録はもう破れないんです(笑)。

歴史に残りますね。凄いです!

翌年、東証二部に上場しました。そしてその当時、ホリエモン(堀江 貴文の愛称、日本の実業家)が悪目立ちしていた影響もあり、世の中が「上場企業には大きさよりも、根幹の太い企業が必要」という雰囲気になっていました。そのため、2001年に東証一部(東京証券取引所 市場第一部)から直々にお声が掛かることとなり、東証一部に上場することになりました。

(写真:取材風景)

とんとん拍子で成長していますね。どうしてそんなに会社を発展させることができたんですか?

なにかと運が良かったです。ファミコンで会社が一気に飛躍したのも、任天堂さんが採用したCPUが、私たちがアーケードゲームをハードウェアから開発していたときのCPU、“6502”と一緒だったからです。同じだったおかげで、ファミコンができた時には、すでに開発ノウハウがあり、いち早くファミコンに着手できました。“6502”はあまり一般的ではないCPUなので、本当に運が良かったです。

本当に「運も実力のうち」だと思います。

プラス思考であることも大切です。「運が良いこと」「プラス思考であること」、このふたつがあれば、自然と人がついてきて、時代の流れに乗ることができます。

なるほど。今では京都を代表する企業のひとつである、そんなトーセさんは京都の企業として意識・大切にされていることはありますか?

京都ブランドは常に意識しています。私たちはこれまで、京都ブランドを頼り、信用し成長してきました。その恩返しとして、京都ブランドを守り、育てる必要性を感じています。

観光業が失速した今でも、トーセさんのような会社がある限り、京都ブランドは健在ですね! では、そんなトーセさんの強みを教えてください。

何でもできることが私たちの強みです。企画提案型受託開発の分野ではトップの自信があります。

裏方のトップということですね。

裏方はメーカーさんよりも地味で、とても時間のかかる、面倒な仕事ですが、私たちはそれを極めた会社だと言い切れます。

裏方を極めた会社であることで、メーカーさんは技術性、競合性に関して安心して仕事を依頼することができますね。

そうですね。私たちがお客様のライバル会社になることは絶対にありません。

ところで、齋藤会長は立命館大学 理工学部出身です。理工学部に入られたということは、電子関係を営むお父様の会社を継ぐ予定で学生時代を過ごされたのですか?

そうですね。親父が立命館OBでしたので、私も立命館で、「継ぐ」という既定路線を辿っていました。しかし、親父の会社に就職して半年で単なる「継ぐ」という路線から外れて現在のトーセの業務に関わることになり、親父の会社は私の弟が継ぎました。

なるほど。大学ではどんな学生時代を過ごされたのですか?

純粋に大学生活を楽しみました。

社会に出て何か役に立ったことはありましたか?

茶道部に4年間入っていたので、お茶の知識や文化は今でも色々な場面で役に立っています。

茶道部に時間を費やした学生生活だったんですか?

今でも裏千家の老分(裏千家の重要役職で、流派のお目付役)という役割を持っています。学業・遊びと両立した学生生活でした。

なるほど。では、そんな齋藤会長の求める人物像を教えてください。

私たちの業界は専門性が高いので、どこかの分野で特出した技術や経験を持っている人が良いです。

例えば、どんな分野が活躍しますか?

先ほども言ったように、私たちの会社はオールインワン体制でお仕事をしていますので、どんな分野でも活かすことができます。プログラミングが書ける人はもちろん、小説が書ける人、デザインが得意な人、色々な人がその得意な仕事を見つけることができます。

強固な経営基盤があるからこその「求める人物像」ですね。

そして、プラス思考で考えられる人も魅力的です。

それは齋藤会長がおっしゃっていた、自然と人が集まり、時代に乗るための要素のひとつですね。

でも、そのようなことは面接やインターンシップでは判断できないので、難しいです(笑)。本当に大切なのは成長できるかどうかだと思います。

成長するためには何が大切ですか?

楽しむマインドです。アーケードゲーム時代からファミコン時代、『iモード』、ITへと時代の流れとともに私たちも変化してきました。今はドローンも扱っています。そんな時代の変化を楽しみながら、色々なことに興味を持って仕事に向き合うことが大切です。

どんな環境でも楽しむ精神が結果的に成長へ繋がりますね。では最後に、大学生にアドバイスをお願いします。

出来るだけ早く物事を考えてください。

どうしてですか?

その方がチャンスが多いからです。目まぐるしく何かが起こる世の中、その変化に対して挑戦する際は常に早さが求められます。なので、早く物事を考える習慣を学生時代に身につけておくことはとても重要です。

その「考える」とはどのような意味ですか?

思い立ったり閃いたアイデアではなく、時間をかけて一所懸命アイデアを練る“考える”です。そのために、情報源や人脈の確保が大切です。

情報源と人脈の可能性は無限大ですね。齋藤会長、本日は貴重な機会を頂きありがとうございました。

大先輩である齋藤会長、本日は有難うございました。