株式会社スプーキーズ 西塚 育郎 社長

2021年4月14日#ゲーム,#IT

西塚社長、本日はよろしくお願いします。早速ですが、スプーキーズさんは何をされている会社ですか?

私たちはソフトウェアを使って、みんなの想像を超える社会を創ろうとしている会社です。

では主に、ソフトウェア開発をされている会社なんですね。

はい。今は創業期からしていた、お客様のお悩みを改善するソフトウェア開発を主にしています。

“今は”なんですね。

そうですね(笑)。ゲーム開発に力を入れている時期もありました。それまでブラウザゲームが主流だったmixi(ミクシー)、モバゲー、GREE(グリー)などがソーシャルゲームを2014年に始めた時に、私たちも参入しました。今、ソーシャルゲームはアプリ化されていますが、そのネットゲームのかなり初期の段階で関わっていました。しかし、今はもうゲーム開発はclose中です。

『キングダム』(作者 原泰久 『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて2006年9号より連載開始)のスマホ向けゲームも開発されていましたね。どうしてゲーム開発事業はcloseすることになったんですか?

受託案件もなく、オリジナルで勝負する為のアイディア、勝機が現状はないと考えている為、充電期間となっています。またチャンスがあれば、再度チャレンジしたいです。

冷静な判断ですね。では、今はソフトウェア開発だけなんですか?

ボードゲームなどのアナログゲームも開発しています。

それはどうしてですか?

ゲーム好きのメンバーが集まっているからです。年に一回、『ゲームマーケット』というインディーズのアナログゲームイベントに出展しています。

例えば、どのようなアナログゲームを出展しているんですか?

最近で言えば、『凸!凹!バコ!ザコ!』というゲームを出展しました。想像以上に盛り上がるゲームです。

(写真:『凸!凹!バコ!ザコ!』)

面白そうです(笑)。先ほど、ゲーム好きのメンバーが集まっていると仰いましたが、西塚社長もゲーム好きなんですか?

好きですね(笑)。私はファミコンと共に育ったと言っても過言ではありません。プログラミングの世界に入ったのもゲームがきっかけです。

そのきっかけは何ですか?

小学3年生の頃にファミリーベーシックというファミコンのゲームプログラムを自作できる機器が登場し、そこで初めてプログラミングの楽しさを覚えました。そこから、大学も早稲田大学理工学部の情報学科に進学して、プログラミングを勉強してきました。

西塚社長は幼少期の頃からITに触れてこられた人だったんですね。ところで、スプーキーズを創業した時、西塚社長はおいくつでしたか?

2006年なので、29歳です。20代のうちに創業することに憧れていましたから、滑り込んだ感覚です(笑)。

セーフですね(笑)。もともとアントレプレナーシップ(起業家精神)はお持ちだったんですか?

大学の環境や私の周りの友達に影響されて、そういう考えを持っていたのは事実ですが、明確に何年後に起業しようとは思っていませんでした。

どうして結果的に起業することになったんですか?きっかけは何ですか?

私はそれまで6年間ほど、京セラコミュニケーションシステム(株)で京セラとKDDIの社内システム開発に携わっていました。そこで、ソフトウェア開発の可能性を社内のシステムだけではなく、もっと広い範囲で感じたのがきっかけです。起業してから最初の仕事はアマチュアスポーツ選手の成績管理サイトを作りました。個人や社会にとって、もっと便利なサービスを今後も届けていきたいです。

まさにソフトウェアを使って「みんなの想像を超える社会」を創ろうとしていますね。ところで、西塚社長の出身は京都ですか?

いいえ、神奈川県横浜市です。

神奈川県ですか! どうして京都で起業されたんですか?

先ほど言った前職の会社が京都で、仕事の関係柄、都合が良かったというのもありますし、京都の方と結婚もしていたので京都で創業することにしました。

(写真:(株)スプーキーズロゴマーク/HPより抜粋)

結果的に京都でこうして出会えたことは嬉しいです。では、そんなスプーキーズさんの強みを教えてください。

私たちの強みは社員みんなの“こだわり”が強いことです。

何に対しての“こだわり”なんですか?

プログラミングなど、ソフトウェア開発の“こだわり”です。例えば、同じような動きをするプログラムでも10行で書く人もいれば、1行で書く人もいます。正解はありませんが、このプロジェクトではこう書いた方が良いと説明できる、こだわりを私たちは持っています。

“好き”を仕事にしているメンバーが多いからこその強みですね。

その反面、困っていることもあります。“こだわり”が強すぎて経営数字にこだわれないことが多々あります(笑)。本来20時間でしてほしい仕事を、100時間もかけてしまう。良いものを作ることが出来ればそれで良いのですが、“こだわり”と経営数字の両方に気を遣い、お客様に喜んで頂けるものを作ることを大切にしています。

“こだわり”と経営数字の折り合いをつけることが大切ですね。ひとつのソフトウェア開発にはどのくらいの期間がかかるのですか?

中には2年レベルの長期プロジェクトもありますが、3ヶ月〜半年が多いです。

なるほど。社員さんは今、何名いらっしゃるんですか?

11名います。

今はリモートワーク中なんですか?

そうですね。去年の4月からリモートワークをしているので、もう少しで1年が経ちます。毎週水曜日は「推奨出社日」として出来るだけ顔を合わせるように心がけていますが、やっぱり寂しいです(笑)。

リモートワークになって何か変わったことはありますか?

どうしてもコミュニケーションが不足して効率は下がったように感じます。体調や仕事の進歩状況がオフィスワークだと気付けたものが気付きにくい。そういう環境が改善できればなと思っています。

(写真:取材風景)

オフィスの中でみんな揃って働けるようになれば一番良いですね。では、西塚社長の「求める人物像」を教えてください。

野心のある人が欲しいです。自分の夢をここで実現ずるぞ、くらいの気持ちを持ってスプーキーズに来てくれると嬉しいです。そして、“こだわり”とその他の要素のバランスを取ってくれる人が良いですね。私たちがもうひとつ上の段階に行くには必要な存在だと思っています。

具体的に教えてください。

私たちは今年で創業16年になります。メンバーは優秀でみんな良い技術を持っています。会社をこれからさらに伸ばすには優秀なエンジニアを良い意味で上手にコントロールできる人が必要です。

なるほど。もっと上に上がるために必要な「求める人物像」ですね。エンジニアももちろん引き続き採用されると思います。エンジニアの採用に関して何か見ているところはありますか?

まずは今いるメンバーに負けないぐらいの“こだわり”がある方が良いです。そして、コミュニケーションをとれる人はもっと良いです。自分から知識の共有を図れるかどうかですね。ひとりですべて仕事ができてしまう人もメンバーの中にはいますが、その知識の共有に関してはまだ十分ではなく、それができると会社全体がもっと伸びていくと思います。

(写真:「BEYOND THE IMAGINATION!!」/Twitterから抜粋)

エンジニアとしてはライバルかもしれませんが、仲間である以上、お互いに支え合って会社をより良い方向に導いてほしい、という経営者ならではの視点が感じられます。では、西塚社長から大学生にアドバイスをお願いします。

後先物事を考えずに、無我夢中で学生時代にしか出来ないことをしてください。

どうしてですか?

そういう大学生活を送った人と私は仕事がしたいからです。「世界一周してきました」や「けん玉を極めて世界一です」の方が私にとって魅力的に感じます。社会的に無理だなとか、自分の人生に役に立つのかなって思わずに、思い切ってやってみてください。それが出来るのは大学生だけですから。そして、そういう大学生活を送った人は初めての仕事でも“好き”になって、楽しく働けると思います。

それは西塚社長ご自身の経験からですか?

はい。私は小学校から大学生までずっとゲーム好きで、就職もその道へと考えていましたが、思っていた就職は出来ませんでした。それは、大学の専攻や研究室はプログラミング関係でしたが、ほとんどやっていなかったからだと思います。それよりもはるかにブレイクダンスと遊びに時間をかけていました。一年間留年もしました。そのぐらい私の大学時代は後先のことを考えずに夢中になれるものに夢中になっていました。でも、後悔していません。夢中になれたことに価値があると思うからです。様々な経験を経て結果的に仕事でゲームに関われているので、とことん夢中になって自分を高める時期があって良かったと思っています。

まずは最初の段階で、諦めないことが大切ですね。ほとんどの人は大学後のことを考えて諦める、そもそも大学後のことを考えて行動しているように感じます。

私は諦めが悪い性格だと思います。幼少期から気に入らないゲームに対しては改造して自分で面白いゲームに変えるなどしていました。それこそ、アナログゲームの発案は「このゲームをもう少し変えれば面白くなるんじゃないか」という考えから生まれます。大学生も諦めてほしくないです。

大学の4年間は色々なことができる時間ですから、選択肢は無限にあります。その中で私も諦めずに「何かに夢中になれる」大学生活にしたいと思います。西塚社長、本日は楽しい時間をありがとうございました。

取材にご協力頂き有難うございました。