キョーワズ珈琲株式会社 辻 隆夫 社長
辻社長、本日はよろしくお願いします。早速ですが、キョーワズ珈琲さんは何をしている会社ですか?
私たちは美味しい珈琲を人々に届けている会社です。
確かに今、頂いている珈琲はとても美味しいです。どこをこだわっているんですか?
珈琲豆一粒一粒こだわっています。私たちは厳選した指定農園の豆を自家焙煎し丹念に仕上げた、自信のある珈琲豆だけを届けています。
指定農園はどこにあるんですか?
ジャマイカやブラジル、タンザニアなどに15ヶ所の指定農園があります。どれも私たちが実際に足を運び、自信を持って紹介できる農園ばかりです。
誰がどこでどのように栽培しているか、実際に現地を見ていることはキューワズ珈琲さんの強みだと思います。ちなみに、自家焙煎はどこで行われているんですか?
すぐ隣の工場で全ての豆を焙煎しています。そして71年間、創業当時からの焙煎方法を続けています。
71年間もですか!? それはもう“伝統”ですね。
確かに“伝統”と言っていいかもしれません。その焙煎でなかったらキョーワズ珈琲の珈琲豆ではないと思っています。しかし、「伝統を変えない」と固執するのは良くないです。上手く折り合いをつけるべきだと感じています。
長く続く会社だからこそ、変化も必要なのですね
実は珈琲を軸にしたのは12年ほど前です。創業時は紅茶やココア、海外菓子などの輸入食品を取り扱い、百貨店で小売販売する会社でした。しかし、時代とともにスーパーが百貨店の市場を奪っていき、私たちの業績も悪化しました。そこで、私たちは珈琲に特化しようと思い、今は珈琲を軸に商売をしています。社名もその際に、「共和食品株式会社」から「キョーワズ珈琲株式会社」に変更しました。
キョーワズ珈琲さんは一度変革された会社だったんですね。ところで今はどのように珈琲を人々に届けているんですか?
5つの実直営店舗と22ヶ所の百貨店でのテナントショップ、そしてネットショッピングで珈琲豆や珈琲製品・関連商品を販売しています。さらには珈琲ショップに特化したコンサルティングも行っています。
珈琲ショップのコンサルティングですか!? 面白いです。
定年退職した後に、珈琲屋を営みたいという方が私の周りに多くいたのがきっかけで始めました。とても楽しくされている方が多いです。
そんなキョーワズ珈琲さんのこれからのビジョンはありますか?
ひとつひとつ見つめ直していきたいです。時間の流れとともに、生産者も消費者も、農法も栽培方法も変わります。固執せず、物事を見つめ直すことが大切です。その際、学生が抱く珈琲の魅力はとても参考になると思っています。
具体的に教えてください。
実は、私は金沢大学で非常勤講師として「珈琲学」を300人ほどの大学生に10年間教えていました。そこで気づいたのは、学生さんは多くの面で珈琲に興味を持ってくれている、ということです。珈琲を単純に「おいしい飲み物」や「カフェインの入った飲み物」として認識しているのではなく、「歴史」や「文化」の関連として興味を持ってくれていました。なので、珈琲に深く関わる人間として感銘を受けました。それからは、社内で「珈琲鑑定士」を目指す取り組みや2~3ヶ月の珈琲栽培地の現地研修などを取り入れるなど、興味をくすぐるような色々な取り組みをしています。
学生との関わりを通して、とても良い発見をされたんですね。私も「珈琲学」はとても気になりますし、受けてみたいです(笑)。では、そんな辻社長の「求める人物像」を教えてください。
色々な視点で物事を考える人が良いです。
それはどうしてですか?
これからの私たちに必要な人物だからです。そのような人物は新たな発見を会社にもたらしてくれます。その際に、さらに発言力も求められます。発言しないと何もその後の変化は起こらないからです。
まさに、見つめ直していくキョーワズ珈琲さんの「求める人物象」ですね。
そして、「見つける努力」をしている人も魅力的に思います。
「見つける努力」??
中には、ずっとその仕事に憧れていて仕事がゴールだと考える人もいると思います。でも、私にとって、仕事は自分のやりたいことを追い求めていく中での過程だと思います。なので、常に自分のしたいことを「見つける努力」をしている人はとても素敵です。それが今の仕事でなくても構いません。自分が本当にやりたいことを、仕事をしながら見つけようとすることが大切です。
辻社長自身も仕事を通して自分のしたいことを追い求めてこられたんですか?
そうですね。今も「見つめる努力」は大切にしています。私は元々、東京で珈琲豆の輸入専門商社でサラリーマンをしていました。そして、珈琲のロースター(珈琲豆を焙煎する器具や機械)の方に興味が向き、27歳の時にキョーワズ珈琲に転職しました。
辻社長の転職は自分を追求する上で、とても明るい選択だったんですね。では最後に、大学生にアドバイスをお願いします。
アルバイトは経験するべきです。
どうしてですか?
アルバイトと言えども、社会との接点ができる貴重な場です。大学生は経験して損はないと思います。
これまで、多くの経営者さんがアルバイトは大切だとおっしゃっていました。本当に経験して損はないですね(笑)。
そして、今は難しいかもしれませんが、ひとりで海外に旅行して欲しいです。
カルチャーショックを受けて視野が広がるからですか?
それももちろんあります。学生にひとりで海外に旅行して欲しいと思うのは、生きていくことが真に問われるからです。コミュニケーションやお金の管理、旅行計画など、生きていく為の力が試されると思っています。
確かにそうですね。私も早く海外に行きたいです。辻社長、本日は有難うございました。