株式会社八代目儀兵衛 橋本 隆志 社長

#農業,#飲食

橋本社長、本日はよろしくお願いします。早速ですが、橋本社長の会社は何をされている会社ですか?

私たちは美味しいお米を届ける会社です。その手段としてネット通販や飲食店、お米のコンテスト「お米番付」などの事業を展開しています。

どうしてお米なんですか?

私の家が1787年から京都で代々続くお米屋さんだったからです。そして、2006年、私の代のときに(株)八代目儀兵衛を設立しました。

(写真:取材風景)

橋本社長が八代目にあたるから「八代目儀兵衛」という社名なんですね。どうして橋本社長の代で会社を設立するなど、大きく変革されたんですか?

お米の消費自体が日本全体として減少していく中で、日本の食文化、お米の素晴らしさを改めて知って欲しいからです。そうすることで、大切な家業も守ることができると思っています。

橋本社長は「家業を継ぐ」という意識をいつから持っていたんですか?

私が長男なので、幼少期から「家業を継ぐ」という意識は必然的に持っていました。

京都では由緒ある家が多いので、橋本社長と同じ境遇の経営者さんは比較的多いような気がします。ところで、今、事業として何が中心にあるんですか?

ネット通販が6割を占めています。その他に卸しと飲食事業があります。

(写真:「十二単」シリーズ/HPより抜粋)

ネット通販をされている理由は何ですか?

距離が制限されないからです。ネットがある今、出来るだけ多くの方に美味しいお米を知って頂く方法としてネット通販は優れています。しかし、ネット販売は会社の知名度、その商品の知名度があってこその販売スタイルなので、お客様にまず私たちのお米を知って頂くという意図で飲食事業を2009年に始めました。

なるほど。店舗はどこに構えられているのですか?

祇園と銀座に構えています。

冒頭に仰った「お米番付」はどのようなものなんですか?

「お米番付」は産地銘柄だけでお米を評価する、今の風潮を一新するために誕生したお米のコンテストです。私を含め、ミシュラン三つ星シェフの方々で産地・銘柄にとらわれず、お米本来の美味しさを評価しています。昨年はコロナの影響で初めて延期しましたが、毎年行われるイベントです。

面白いコンテストですね(笑)。さらに八代目儀兵衛さんは「my Taste」というプログラムも主催されていると思います。これはどのようなプログラムなんですか?

子どもの「お米離れ」が起きつつある現状で、美味しいお米を通して「五感の正しい使い方」や「豊富な表現方法」、「プレゼンテーション」を学び、加えてお米の魅力を発見して欲しいという想いを込めて企画しています。

子どもにとっては二度美味しいプログラムですね。橋本社長自身は、お米の美味しさをどのように表現しますか?

美味しいお米は基本的に“甘い”です。この“甘い”は機械で数値化できる甘さではなく、そのお米が育った環境や農家の技術などで決まる、素材の味です。美味しい野菜は“甘い”と表現すると思います。それと同じです。極論を言えば、美味しいお米は赤ちゃんがおかわりするお米です。

先入観に左右されることのない赤ちゃんがおかわりするお米ですか、食べてみたいです(笑)。では、そんな八代目儀兵衛さんの強みを教えてください。

私たちの強みはお米の美味しさを追求していることです。

どのようにして追求しているんですか?

産地銘柄にとらわれずに、自らの五感で見極め、自社の精米技術・ブレンド技術でさらに美味しいお米へと追求しています。

HPでも拝見しましたが、橋本社長自信が「五ツ星お米マイスター」を取得されるなどお米に関してとてもプロフェッショナルだと思いました。

ありがとうございます(笑)。私はまず、2年間、通販会社でサラリーマンを経て、その後家業に帰る前に米問屋で1年間修行しました。そこで、産地・銘柄ではなく、お米の味本来に目を向けて、美味しいお米の味を追求しました。「五ツ星お米マイスター」はこの会社を設立した2006年に取得しました。

では、八代目儀兵衛さんの今後の展開を教えてください。

7月に京都駅でげんまいのいなり寿司のテイクアウトに挑戦します。

どうして玄米のテイクアウトなんですか?

私たちは日本のお米を世界中に届けることをミッションに掲げています。そのミッションをこのコロナ禍で果たしていくときにテイクアウトは欠かせないと考えています。そして、コロナ禍で健康志向がトレンドにあります。美味しい玄米を届けることでお客様の需要に応えていきたいです。

(写真:(株)八代目儀兵衛/HPより抜粋)

玄米は女性に人気なのでとても喜ばれると思います。では、そんな橋本社長の「求める人物像」を教えてください。

まず第一として、私たちの目的と個人の目的が合致している人物が欲しいです、そして、最終的に求めるのは現場対応力です。

現場対応力とはどういうものですか?

いかなる場面でも自分の頭で考えて解決する力です。変えたくても変えることのできない大企業ではなくて、何かがきっかけですぐ変わることのできる中小企業だからこその求める力だと思います。

臨機応変な対応ができる人は魅力的ですね。八代目儀兵衛さんは新卒採用はされていますか?

今年初めて新卒採用をしました。

それはどうしてですか?

コロナ禍で採用ができない企業が多い、この苦しい時期に逆手をとって新卒を採用しました。苦しいときだからこそ、優秀な人材を採って乗り越えたいと思っています。

では最後に、大学生にアドバイスをお願いします。

出会いはとても大切です。私も、大学で出会った先輩の一言がきっかけで会社を設立しました。また、出会った仲間からは貴重な情報が入ってきます。そんな出会いが大学には転がっていますので、ひとつひとつの出会いを大切に、常にアンテナを張って過ごしてください。そして、リーダーシップ力は学生時代に身につけておくと良いと思います。

リーダーシップ力はどのように身につければ良いですか?

考えるしかないと思います。資格のようにそれに向かって、真っ直ぐ進めるものでもないので常にリーダーとは何かを考えるしかありません。リーダシップ力は大学生活の集大成として備わっているかどうかのものです。

常に自分で考えて行動する、とても容易なことではないですが、大切なことですね。橋本社長、本日はありがとうございました。

取材にご協力頂き有難うございました。