こと京都株式会社 山田 敏之 社長
本日はよろしくお願いします。早速ですが、山田社長の会社は何をしている会社なのですか?
『こと京都』は九条ねぎを専門に栽培、加工、販売を行っている会社です。簡単にいうと、農業をしている会社ですね。
九条ねぎは美味しいですよね。ところで九条ねぎは普通のねぎと何が違うんですか?
「京都府内で生産されたもの」「慣行農法を超えない肥料や農薬の使用で、安心・安全に栽培されたもの」「九条群に属する原種、またはその原種から直接交配した品種」の3つの条件が合わさったものが九条ねぎとなります。実は、そんな九条ねぎは和銅四年(711年)、稲荷神社が建立されたときに京都で栽培が始まったとされています。
そうなんですか。1300年もの長い歴史があるんですね。それでは、『こと京都』さんの強みを教えてください。
私たちの強みは「農業の6次産業化」と「産地リレー」を実施していることです。
「農業の6次産業化」というのは、栽培だけではなく、加工、流通、販売まで行うということですよね。「産地リレー」というのはどういうことですか?
「産地リレー」とは、栽培する地域を複数確保することで最も旬の野菜をリレー形式に届けることができる仕組みのことです。『こと京都』では、縦に長い京都の地域を活かし、3つの産地で、季節とその土地の特徴に対応しながら九条ねぎを生産しています。
なるほど。ちなみに3つは産地はどちらなんですか?
まず、夏葱の栽培に適している南丹市美山町。秋から冬の春葱の栽培に適している京都市。そして、京都市・南丹市と比べて周年栽培(年間を通して収穫できる)に適している亀岡市です。その3つで産地リレーを実施することで、安定供給を目指しています。
なるほど。では、山田社長はどんな人物を『こと京都』に求めていますか?
まず、「元気な人」が良いですね。
元気な人ですか!?
はい。暗い人より明るく元気な人が欲しいです。その方が、仕事が楽しくなるじゃないですか。一緒に仕事する時間は長いですからね。
確かにそうですね。
そして、「才能がある人」よりも「努力ができる人」が良いです。
それはどうしてですか?
才能がある人はすぐに出来てしまうから、なにかと手を抜いてしまうんです。
分かるような気がします。
例えばバイトでも、いかにしてサボろうとする人と、どんくさいけど一所懸命する人がいるじゃないですか。私は後者の方が好きです。
なるほど。
同じ努力をするにしても「正しい努力」をする人が良いです。「正しい努力」ができる人は信用できるからです。
「正しい努力」とはどういうことですか?
正しい努力とは本当に質を追求しようとする努力のことです。例えばバイトだと、表面上だけ良く思われようとする努力ではなく、本当にお客様のために良くしようとする努力が「正しい努力」です。同じ努力でも、10年後20年後には人間性に雲泥の差が生まれます。
「何が“正しい”か」というのはどのように判断すればいいのですか?
それが一番難しい事だと思います。視点によって“正しい”ことが変わるからです。でも、その視点というものは人生を送っていくとだんだんと理解していくものです。なので、その時の自分の考えで「やってもいい」と判断できることが“正しい”に繋がっていくのだと思います。
では、『こと京都』さんの「正しい努力」とは何ですか?
例えば、「1300年続く九条ねぎの伝統を絶やさない」ということが「正しい努力」ですね。
具体的に教えてください。
最近は品種改良も進んでいますから、生産者側の作りやすさを重視しすぎた結果、「原種配合率がたった1%」と九条ねぎと言えないねぎもあるんですよ。しかし私たちは、原種配合率50%以上のねぎを生産しています。正直、作るのは大変ですが、そこには「九条ねぎの伝統を守る」という「正しい努力」が存在しているのです。その「正しい努力」のおかげで今年の7月から私たちの九条ねぎが上賀茂神社の御用達になったんです。
御用達?
簡単にいうと、認められたということですね。
それは凄いことですね!山田社長はその「正しい努力」ができる人物をどのように見極めているのですか?
それはね、1〜2回見たぐらいでは分からないです。だから、まず明るい人が良いですね。私の会社では笑顔を大切にしています。
笑顔ですか。確かに笑顔は会社の雰囲気を明るくしますよね。
そうですね。あとは、そんな明るい会社の雰囲気に合わせられるかどうかも大切ですね。
それも大切なことですね。ところで、HPで山田社長は「協調と協力」「整理、整頓」「ポジティブ」「レベルアップ」を社訓として挙げられておりました。それは新入社員に求めるのですか?
社訓はそうなって欲しいという考え方の基準です。なので、社員には基本的にそうなって欲しいです。
そうですか。では、こと京都さんの経営理念と「求める人物」はどう関わってきますか?
「農業生産法人として、人、自然に感謝し、心豊かに社会貢献します」という経営理念は私たちの羅針盤です。基本的に、その考えに共感できる人が良いですね。
そうなんですね。ちなみに、「自然に感謝」とはどのように感謝しているのですか?
私たちは畑に入る時、自然への感謝としてお辞儀を心がけています。私は毎朝、神棚に、ねぎに、感謝して手を合わせています。
かっこいいです!では、山田社長の「求める人物」に近づくために大学生へアドバイスをお願いします。
大学生は「正しい努力」つまり、「自分の頭の中でやってもいいと判断できること」を積み重ねながら、色々な経験をするべきです。
どうしてですか?
そうすることで、様々な考え方が生まれ、選択肢が増えます。そうして選択肢が増えていくと、「何が“正しい”か」というのが具体的に理解できるようになっていき、より「正しい努力」の考えが深まるからです。
なるほど。山田社長はどんな経験を大学生の時にしていたのですか?
私は3~4ヶ月でアルバイトを変えていました。そして、4ヶ月でその会社の社員クラスになろうと意識していました。
例えば、どんなアルバイトをご経験されたのですか?
新聞配達、遺跡の発掘員、喫茶店、深夜営業のお店、モデル、教材の販売員、プールの監視員などをしていました。実際に、その経験が私の「正しい努力」の考えを深めました。
そうなんですね。
大学生は「脳は大人、心は子ども」ですから、その心の部分を色々な経験で大人へと成長させていくべきです。その際に、「正しい努力」で経験を積む方がより素晴らしい成長に繋げることができるでしょう。あとは、本を読んだ方が良いです。
どうして本を読んだ方が良いのでしょうか?
まず、私が大学生の時に本を読まなかったことを後悔しているからです。本を読むことは「正しい努力」の考えを「経験する」と同じくらいに深めます。しかし、本を読んで知ったつもりになるのは良くないので、実践的な知識を入れることを心がけるようにしてください。
どういった本を読めば良いでしょうか?
読みたい本を読んだら良いと思います。
わかりました。私たち大学生は「正しい努力」の考えを色々な経験や読書で深めていきます。山田社長、本日は有難うございました。