株式会社公益社 松井 雄 社長

2021年5月7日#不動産,#葬祭

松井社長、本日はよろしくお願いします。早速ですが、公益社さんは何をされている会社ですか?

私たちは葬祭に関する業務全般をサポートする会社です。

具体的にはどんな業務があるんですか?

お客様に寄り添った葬儀プランやブライトホールのご案内、葬儀に使用する祭壇や生花のご提案、ご葬儀後のサポートなどを行っております。最近では、ご本人様からの生前相談が増えています。

生前相談は最近になって増えてきたことなんですか?

昔は考えられなかったことです。昔のお葬式は当人が考えるものではなく、ご遺族の方が考えるものでした。私たちが受けるお問合せも変化し、昔は「実は、〜が亡くなりました」というご連絡がほとんどでしたが、今では「私自身の相談で……」という内容も増えて参りました。

どうしてそのように変わったと思いますか?

やはり「自分のことは自分でする」、「子供に迷惑かけたくない」とお考えになるようになったのだと思います。

なるほど。最近は「終活」という言葉もよく耳にするようになりました。公益社さんはもしものときに備えたご相談もしっかりと親身にご対応されているんですね。

最近では、ご遺族だけで故人との最後のひとときを過ごしたいというお声もありますので、そういった方にはリビング型家族葬専用ホールで2日間ゆっくりと過ごす「別邸」というご葬儀プランもご案内しています。これからもこのように、お客様に寄り添っていきたいです。

常にお客様を第一に考えていますね。公益社さんは京都を拠点に活動されていますよね?

主に京都と滋賀西部を中心に活動しています。

何かその地域らしい特徴はありますか?

葬式は地域によって特色も変わってきます。特に京都市内は長い歴史がありますので、独特な風習は多いです。例えば、霊柩車は北と東に向かって出発してはいけないとされています。京都は御所文化が残っており、霊柩車は京都市内の北東に位置する御所に向かって出発致しません。

それはどうしてですか?

天皇陛下がいらっしゃるところに忌み事を向けない、と伝え聞いております。他には、お茶碗を割る習慣もあります。この家ではもうご飯をいただかないので必要ありません、迷わず成仏して下さいということで、わらを燃やし、愛用していたお茶碗を霊柩車が出発する際に割る風習です。

いろんな風習があるんですね。そんな風習も含めた、ひとりひとりのお客様の想いに寄り添うことが葬祭では欠かせませんね。そもそも、どうして京都と滋賀を拠点にされているんですか?

私の祖父が銀行員などを経て、大阪の公益社に勤めていました。そこで、京都に開業・進出することになりまして、それを任されたのが祖父でした。そして、公益社という名前を「暖簾分け」という形で頂き、お客様の生活圏から京都に加え滋賀の西半分を営業圏とすることになりました。創業当時、葬儀会社は京都市内には130社ほどありましたが、今では40社と葬儀会社は随分少なくなりました。そんな中、私たちは83年間コツコツとやらせて頂いております。

(写真:株式会社公益社ロゴマーク/HPより抜粋)

もとは京都市内に130社ほどあった葬儀会社ですが、どうして公益社さんはその中でも生き残れたと思いますか?

「いい人」が公益社の中に居てくれたからだと思います。

具体的に「いい人」はどんな人ですか?

お客様に寄り添える人です。どれだけ親身になってご家族の方をサポートできるかどうか、心のこもった一言を掛けられるかどうか、そういったことができる人が私たちの会社には居ました。グリーフケア(深い悲しみを抱えた方々が立ち直り、自立し、成長し、そして希望を持つことができるように支援すること)が必要となる葬祭業の私たちに、そのような人物が居ることはもちろん当たり前ですが、とても大切なことだと思います。

それは公益社さんの十分な強みですね。どうしてそんな人たちが公益社さんに居られたと思いますか?

公益社と社員との出会いはあくまで偶然です。肝心なのは、入社後、社員がお客様をサポートすることを粋に感じ、責任を持って仕事をしていることです。そこには、自身の努力、私たちの社内環境、お客様の寛大さなど色々な要因があると思います。一概に「これだ」とは言えません。

松井社長は公益社さんに何年間いらっしゃるのですか?

24歳の時に入社したので26年間です。

それまでは何をされていたのですか?

大学卒業後、宗教用具を取り扱う会社で働いていました。

苦労したことはありますか?

もちろんあります。ほとんどが苦労の毎日でした(笑)。でも、後継として生まれた私にはYesの選択肢しかなかったので、自然に「乗り越えるしかない」「克服するしかない」という考え方を持っていました。その考え方が結果的に良かったのかな、と思います。

(写真:取材風景)

「乗り越えるしかない」「克服するしかない」という考え方は、それが自然に身に付いたとは言え、とても素晴らしい考え方だと思います。では、そんな松井社長の「求める人物像」を教えてください。

行動力がある人が欲しいです。

それはどうしてですか?

私たちが一番大切にしているのは「どれだけお客様に寄り添えるか」です。社長になってから6年間ずっと私は「お客様のためになると判断したことは、もし例えそれが権限や手順と異なっていても実行すべき」と言っています。そのぐらい大切にしています。そこで、私が思うのは、「誰もが思いやりの心、優しい心を持っている」ということです。なので、あとはそれを発揮する行動力が必要です。社員に思いやりの心、優しい心を発揮させるのは私たちの使命でもありますので、求める人物にも行動力を求めたいです。

なるほど。どれだけ寄り添えるかどうかに行動力が関わってくるんですね。

そして、行動したあとはやり遂げる力です。先輩らがやり遂げた結果、今の公益社があるので、とても大切にしていきたいもののひとつです。

先輩が良い模範になっているのは「人」が強みの公益社さんらしいですね。では最後に、松井社長から大学生に何かアドバイスをお願いします。

色々な社会を知って下さい。

どうしてですか?

必ずギャップが存在するからです。どの業界にも必ず嫌なことはあります。そして、その現実は考えているだけ、外から見るだけでは、はっきりと見えてこないので、その現実とのギャップを埋める行動をしたら良いと思います。

どのような行動をしたらいいですか?

学生の頃、私は実際に公益社でアルバイトしていました。そこで一度、葬祭業に触れていたことは良かったと思っています。アルバイトをする余裕がない人は、せめて「必ずギャップは存在する」ということを心のなかで認識しておくことが大切です。

社会に出てから自分が思った仕事ではなかったと感じる学生も多くいると思いますので、とても参考になります。公益社さんは葬祭業として一番大切にしなければならないことをしっかりと大切にされているように感じました。松井社長、本日はありがとうございました。

取材にご協力頂き有り難うございました。