株式会社JWC 須藤 智美 社長

2020年12月10日#バイク

本日は宜しくお願いします。早速ですが、須藤社長の会社は何をされているのですか?

株式会社JWCはホンダ製ジャイロキャノピー(50cc原付)専門の中古・新車販売、レンタル、メンテナンスを行う会社です。

(写真:JJSコーポレーションロゴマーク/HPより抜粋)

お客様は配達業などの企業様なのですか?

企業様も多いですが、このバイクは個人のお客様にも人気です。半分は個人のお客様です。

そうなんですね。須藤社長はどうしてこの三輪バイクを専門に取り扱おうと思ったのですか?

まず、この三輪バイクが人気だからです。そして、最初の投資金額が比較的低かったからです。

例えば、この三輪バイクのどういった点が人気なんですか?

ジャイロキャノピーは三輪バイクなので安全性に長けています。その安全性が運転手を守るという点で企業様だけでなく、個人のお客様にも人気です。後は、屋根があるので雨に濡れるという心配もなく、全天候バイク移動が可能になります。ずぶ濡れの配達人にピザを届けられたら心配してしまいますよね(笑)。

そうですね。ずぶ濡れでピザを届けられても、いろんな意味で困りますね(笑)。

そして、ミニカー登録できるということもこのバイクの人気のひとつです。ミニカー登録をすると、基本「車」として扱われるので、時速30キロ以内走行や二段階右折、ヘルメットを被る必要がなくなります。ヘルメット不要は髪型が崩れる心配がなくなるので、女性にとって嬉しいことです。

それは須藤社長の女性らしい視点が感じられますよね。先ほどおっしゃって頂いた「投資金額が比較的低かったから」というのはどういうことですか?

JWCは「敷居が高い外車を直接輸入して安く販売出来ないかな」という思いから始まりました。しかし、車を扱おうとするとやはり投資金額が高く、学生だった私にとって少しハードルの高いものでした。なので、まずサイズの小さなものからという気持ちでバイクに目をつけました。

大学在籍中に起業されたのですか?

はい。3回生の時に起業しました。

そうなんですね。須藤社長は立命館大学法学部ご卒業ですよね。元から、アントレプレナーシップはお持ちだったのですか?

いいえ、起業したことは偶然にすぎません。

どういうことですか?

すべてのきっかけは私の師である瀧口弘一さん(現在67歳、以降「ヒロさん」)と選挙投票所のアルバイトで出会ったことです。そのアルバイトはものすごく暇で、私は話し相手が欲しくて、たまたま話しかけた相手がヒロさんでした。そして、お互いの趣味である「車」の話で盛り上がり、ヒロさんのアドバイスで起業することになりました。それまでは起業なんて考えたこともありませんでした。

なるほど。須藤社長は車やバイクが好きなんですね。ちなみに、いつから好きなんですか?

いつからと言うより、刷り込みに近い形で好きになっていました。父が自動車ラリーに参戦するような人でして、家にはスポーツカーが1〜2台あるような、車にだけお金をかける家庭で育ちました。なので、車やバイクを好きになるのは自然だったように感じます。

それでしたら、ご両親は須藤社長が偶然と言えどもバイクに関わる会社を起業すると聞いてお喜びになったのですか?

親には、私が起業することは隠していました(笑)。しかし、テレビ番組を通してばれましたけど。

どうして隠していたんですか??

心配されると勝手に思ったからです。その頃、大学の勉強もちゃんと出来てなかったので余計そういう考えに至りました。

では本当にヒロさんとの出会いは運命的だったんですね。ちなみに、起業について不安などなかったのですか?

なかったです。まず、バイクを一台購入するところから、無借金で始めました。もし駄目だったとしても損失がわずかなので、リスクは感じませんでした。そして、私の母が自営業をしていたので、「社長業」について大変そうだなという認識はありましたけど、絶対無理という先入観はありませんでした。不安があるとしたら、親にいつ話そうか、という不安だけでした。

若くして会社のリーダーになっていらっしゃるのは凄いです。勿論、「若い」だけではなく「女性」ということで苦労したと思います。

苦労と言えば、「信用を得る」という点で苦労しました。バイク購入となると、ローンを組んで購入を希望されるお客様も多数いらっしゃいました。創業期は、私がローンの連帯保証人として信用が不足していると、ローン会社に判断され、取り扱うことができませんでした。その時は、お客様のご要望に答えることができず、心苦しかったです。

それは辛いですね。どのように克服したのですか?

実績を上げることで、信用を獲得しました。売り上げ実績を上げていくと、ローン会社さんの方から、「社長を連帯保証人としてローンを扱ってもらえませんか?」と営業に来られるまでになりました。

なるほど。失礼ですが、現在の年齢をお聞きしてもよろしいでしょうか?

27歳です。

お若い!その若さはどのように会社に影響していますか?

アルバイトのほとんどが学生です。そのアルバイトの気持ちに寄り添いやすいというのは若さ故なのかなと思っています。

具体的にはどのようなことをされているのですか?

私の学生時代の経験から、週ごとのシフト提出や長期休みの寛大な対応は心がけて実施しています。私自身が実際に、長期休みには実家に帰りたい人だったので……。

それは素晴らしいです。では、そんなJWCの強みを教えてください。

私たちの強みはジャイロキャノピー一本に絞っているので、そのバイクに関しての豊富な知識と技術があることです。

具体的に教えてください。

私たちはどんな状態のバイクでも一度全て分解し、その部品が使えるかどうかの査定を行なっております。なので、中古ではあるけれども、壊れ難いバイクを提供しています。また、一種類のバイクに特化しているので、コスト削減、作業の単純化を図ることができ、他社よりも安い値段、より高い技術でご提供することができます。

一種類に特化しているということはスタッフにとっても嬉しいことですよね。

そうですね。覚えることは一つの流れのみなので、比較的簡単に仕事ができると思います。

では、須藤社長はどんな人物をこの会社に求めていますか?

素直な人が欲しいです。

どうしてですか?

今、バイク産業は電気バイクなどが登場していますが、まだまだ過渡期なんです。最近、二輪組合の会合に行った時も、周りの方は50~60代の年配層が多かったです。やはり、そういう方々は経験豊富で、その豊富な経験を基にバイクの修理などを行なっています。なので、若い人たちはもちろん自分の意見を持つことは大切なのですが、先輩の意見は
素直に受け入れて欲しいです。一方で、ハイハイと受動的すぎるのも良くないです。ひとつの与えられた作業でも効率を上げるなど、より良い方向に考えることが大切です。

なるほど。

あとは、コミュニケーションがとれるというのも大切だと思います。

どうしてそう思われるのですか?

今、アルバイトの子でムードメーカーがいるんですね。その子が入ってからは、前より会社の雰囲気が明るくなったように感じます。そういうこともあり、コミュニケーションの大切さをより感じるようになりました。無理はする必要はないと思いますけどね。私自身もアフターファイブ(仕事が終わったあとの個人的な時間)を強制的に上司と飲みに行くことには少し疑問を感じていますから(笑)。

(写真:取材風景)

須藤社長は意外と現代っ子ですね。では、今の大学生にアドバイスをお願いします。

大学生はその4年間で好きなことをすると良いと思います。

どうしてですか?

今、恵美君は大学生活、高校生活よりも充実していますか?

高校生の時は毎朝6時に起きて、学校に行って、サッカーの部活を終えて帰る毎日でした。朝9時に起きることすら辛い大学生よりも高校生の方が充実していたような気がします。

そうですよね。大学生は怠惰な生活に陥りやすいです。私自身もだらだらと毎日を過ごしていましたので、大学生活を後悔しています。好きなことひとつでもずっと没頭できていたら大学生活が変わったものになったのではないか、と思っています。好きなことをするためには勿論お金が必要です。なので、アルバイトをする必要が出てきます。また、好きなことをする時間を生み出すために学校の勉強も効率が良くなります。そうやって好きなことをすると自然と大学生活が“充実”の方向に向かっていきます。そして、社会に出て辛い時に、「あの時、自分の好きなことに時間を使ったから今は頑張ろ!」って考えることが出来ると思うのです。

好きなことをすると正のスパイラルが自然と生まれるということですね。須藤社長は結果的に「好き」を仕事にできていますよね。「好き」を仕事にすることはなかなか出来ないことだと思います。「好き」を仕事にすることについてどのようにお考えになっていますか?

「好き」を仕事にすることについて“良い”か“悪い”か、は分かりませんが、モチベーションアップには繋がると思います。嫌なことがあっても、「好き」なことをしていると、我慢できますし、納得しやすいですよね。

確かにそうですね。私も好きなことに没頭していきます!須藤社長、本日はどうもありがとうございました!