シュンビン株式会社 津村 元英 社長

#コンサル,#製造

津村社長、本日はよろしくお願いします。早速ですが、シュンビンさんは何をされている会社ですか?

私たちは中小企業の企画部を代行する会社です。

(写真:(株)シュンビン/HPから抜粋)

シュンビンさんはもともと瓶に関わる会社さんだったんですよね?

はい。私の祖先が1900年に「津村商店」という名前で和樽の製造会社として始め、そこから2003年まで、一升瓶の回収・洗浄を主な事業内容として営んできました。

何がきっかけで中小企業の企画部を代行する会社へと変化を遂げたんですか?

瓶の洗浄だけではなく、オリジナル瓶の製造も担当するようになったのがきっかけです。そしてそこから、瓶だけではなく、色々な種類の企画商品提案をするようになりました。

企画商品の提案は具体的にどのようなことをされるんですか?

ヒアリング情報をもとに、その商品のデザインから販売価格まで、ほとんど全ての流れを担当しています。

企画商品が売れるまでの、ほとんどすべての業務をされているんですね。

2012年から企画商品だけでなく、メイン商品のブランド戦略も提供しています。

取引先の社員のような立場に立ち、必要な時に必要な機能を果たされているんですね。どうしてシュンビンさんはお客様の喜ぶ提案をすることが可能なんですか?

日本全国から蓄積されたアイデアを持っているからです。私たちは瓶の会社としてスタートし、日本全国のメーカーさんと取引をしていましたので、北は北海道、南は沖縄、日本全国のノウハウが自然と蓄積され、お客様の喜ぶ提案をすることができています。

なるほど。その中で、京都に拠点を置く意味はありますか?

京都の会社であることで必然的にその責任を感じられクオリティを追求できています。私たちが海外の人に日本の魅力を伝える時、京都をイメージすることが多いと思います。それは「京都ブランド」が確立されているからです。そんな京都で商売することは決して簡単なことではないですが、京都の会社であることの責任を良い意味で感じています。

「京都ブランド」を背負うことの責任は確かに大きいと思います。シュンビンさんが2003年にイノベーションをされた際、最初の取引先は酒造メーカーさんが多かったと思います。仕事をする取引先が酒造メーカーさんだからこその特徴はありましたか?

日本のお酒や食べ物は高付加価値が自然と付いているので、その点はとても助かりました。消費者は「食べる・飲む」という一度きりの体験にお金を払っているので、その価値のある体験をデザインする気持ちで仕事をすることができました。

確かに、一度きりの体験をデザインすることで自然と高付加価値が付き、さらに緊張感のある仕事ができますね。例えば、どんな事例がありますか?

最近で言えば、京都のいちご農園さんの新規事業についてのご相談に対して、大阪の「あべのハルカス」屋上でのいちご狩り体験企画を提案し、都市部の施設の中でいちご狩り体験実現に向けて、運用面、サービスの差別化、価格体系など決めていき、ブランドデザインの構築をさせて頂きました。

(写真:『いちごの庭プロジェクト』/HPから抜粋)

「あべのハルカス」の屋上でいちご狩りですか! それは従来のいちご狩りにはない画期的な体験ができますね。そんなシュンビンさんの強みを教えてください。

社員全員がお客さんの売り上げ向上を目指すべく、同じ方向を向いていることが私たちの強みです。

なるほど。会社全員が同じ方向を向く秘訣は何ですか?

みんなで会社の哲学(フィロソフィ)を大切にしています。実際に「Shunbin Philosophy Book(シュンビン フィロソフィブック)」という名前の冊子で日々、会社の哲学と向き合いながら仕事をしています。これは京セラの稲盛さんの理念経営をベースに考えました。

(写真:「Shunbin Philosophy Book(シュンビン フィロソフィブック)」)

津村社長は経営者として人一倍努力をされてきたと感じます。

結果的に努力はしたと思います。しかし、著名な経営者や哲学者の考えを本質的に理解できるようになったのは経営者になって7~8年目、40代になってからです。本や塾で偉人経営者や哲学者の考えや経営学をひたすら学びました。それまでは何も考えずにただがむしゃらに走っていただけのように感じます。

どうしてそもそもがむしゃらに走ることができたんですか?

私は35歳、父が亡くなってから社長に就任しました。いざ会社の責任者として立たされた時、会社はとても悲惨な状況まで追い込まれており、父と同年代だった幹部が次々と辞めていき、さらに追い討ちをかけられました。私以外の役員はみんな辞め、誰にも頼れない。しかし、社員の命を背負う責任者だったので、がむしゃらに走るしかありませんでした。
その時、まだ若かったので、「このまま終わりたくない」という気持ちもありました。その時から必死に勉強はしていましたが、目の前のことで精一杯で本質的な理解はできませんでした。

追い込まれて必死になった、その頑張りが結果的に会社をイノベーションへと導いたんですね。ドラマのような話です。津村社長はこれからのビジョンをどのように考えていますか?

色々なビジョンがありますが、わかりやすいところで言うと株式上場というのもビジョンのひとつです。全てのビジョンが「全社員の物心両面の幸福を追求すると共に、事業を通じて世の中に貢献する。」という経営理念につながっていないといけないと思っています。

(写真:取材風景)

なるほど。では、そんな津村社長の「求める人物像」を教えてください。

素直な人が良いです。

どうしてですか?

素直な人は成長しやすいからです。素直に物事を受け止める。成長する上では欠かせません。

素直さは変えることのできない、人の性ではないんですか?

私は違うと思います。松下幸之助さんは書籍『素直な心になるために』で、「素直な心は成長することができる」と記述しています。本当にそう思います。生まれた時、人は素直な心で生まれます。自分の欲望、感情、考えにとらわれることなく物事を見ることができます。しかし、周りの環境や理性心で素直な心が次第に薄れていくのです。日々の些細な見つめ直しで、その薄れを取り除くことができると思っています。

なるほど。とても深い学びです。最後に大学生にアドバイスをお願いします。

「優しさ」を育んでほしいです。

「優しさ」ですか!?

社会人になる時の志や目標を築くときに、「優しさ」がベースにないと、その志や目標は単なるエゴでしかないです。素晴らしい志や目標には「優しさ」は欠かせません。

志や目標を明確にすることはとても難しいことだと思います。なので、まず大学生のうちは「優しさ」を育むべき、ということですね。津村社長のおっしゃる「優しさ」とはどのようなものですか?

誰かのために何かしたい、という気持ちです。そこには利己的な考えはありません。やはり、成功する人はその「優しさ」を持っています。

なるほど。津村社長はどんな学生時代を送られたんですか?

時代がバブルだったので、青春を謳歌していました(笑)。ひとつ後悔をあげるとしたら、学生時代のうちから勉強する癖を身につけておけば良かったと思っています。

勉強する癖ですか……。

努力は癖だと思います。私は経営者になって必死に勉強し、結果的にそれが癖になりました。その癖を学生時代から身に付けておけば最高です(笑)。

努力は癖、本当にそう思います。学びの多い取材になりました。津村社長、本日はありがとうございました。

取材にご協力頂き有難うございました。